休日の午後、近所の子どもが見つけた二匹の捨て猫。「おばさん!!大変!猫が捨てられてる!!」
子どもたちを連れて行ってみると、神社のお賽銭の前の段ボールの中から「にゃーにゃー」とかわいらしい声が聞こえた。その段ボールの中を覗いてみると、洗濯ネットに入れられた二匹の子猫の姿があった。なんてひどいことをする人がいるんだと怒りが込み上がった。
犬アレルギーの疑いがある息子は見ているだけだったが、娘は子猫がかわいそうで、洗濯ネットのチャックを開けたがった。でもそんな純粋な娘に「どんな猫ちゃんか分からないから触ったらダメだよ。」と言った。それでも娘は頭だけと言って撫ぜ、子猫に寄り添っていた。
すぐに夫に相談するも「家では飼えないし、どうすることもできないんだから、ほっとけ。」と言うだけ。確かに。でも、ほっとくことは出来ず、ネットで検索。「愛護団体に連絡すればいいのかも」と連絡してみたが、たまたまお休みだった。市役所もお休み。
子猫についても調べると、寒さで死んでしまうこともあるとのこと。ひとまずタオルだけでもかけてあげることにした。
すると、また別の子どもが何と洗濯ネットのチャックを開けて、子猫と遊んでいた。もうこうなると、子どもたちがどんどん増える。そして気づけば7人の子どもたちと子猫でみんなで遊ぶ状況になっていた。子どもの中にPTA会長さんの子どもがいたので、もしかしたら救いの手が出るかもととっさに「お父さん呼んできて!」と私は言っていた。さすがPTA会長さん、すぐに来てくれ、状況を見て「もう夕方だし、ひとまずうちで預かります。」と!!凄い大人もいるものだ。私はその言葉が言えなかった。
結局、PTA会長さん宅に一匹、洗濯ネットを開けた子ども宅に一匹を一時的に預かってもらうことになった。でもどちらのお宅もお母さんが猫アレルギーで飼うことが出来ず、引き取り手が見つかるまでということだった。
必死でまわりの知り合いや友だちにメールをし声をかけた。すぐに手をあげてくれた友だち一家がPTA会長さん宅の猫ちゃんを引き取ってくれた。あともう一匹の引き取り手さんも探すために必死で声をかけた。そんな中、一番最初に手をあげてくれた友だち一家の息子さんが猫アレルギーと発覚。それは大変だと、すぐにうちで預かることにした。夫は大反対。夫のいるときだけ猫ちゃんは玄関行きだった。
次の日から夫は長い出張。一匹も二匹も変わらないと思った私は、もう一匹の子猫ちゃんもうちで預かることに決めた。お母さんが猫アレルギーなのに預かってくれていたのだから、猫アレルギーでない私が動かなければ。子どもたちは大喜び。夫には秘密にする約束をし、猫ちゃんの引き取り手が見つかるまでの期間、大切に育てることに決めた。
子猫二匹は念のため病院へ連れていきすべての検査をした。下痢気味だったから薬も処方してもらえた。しかも状況を説明したら、なんと金額が半額に!!なんて良心的な動物病院なんだろう。
そして、子猫二匹と一緒に過ごす毎日。子どもたちは、とてもイキイキしていた。特に娘。小さなお母さんになって、たくさんお世話をしてくれた。子猫が鳴いていれば、「どうした?」と優しく体を触ってあげたり、タオルケットをかけて寝かしつけたり、自分のお気に入りのキーホルダーを使って遊んでいたり。
二匹の子猫はすっかり慣れ、子どもたちとの遊びも嫌がることなく、すっかり家族のように過ごした。
そんな中、ついに子猫に会いたいと言ってくれる家族に繋がることが出来た。私の友だちの友だちの知り合いの方だった。次の休みに会いに来てくることになった。二匹が兄妹と知ると離れ離れにするのはかわいそうと二匹引き取ることを視野に入れてくれた。
結局、その家族が二匹の子猫ちゃんを引き取ってくれた。とても優しそうな若い夫婦で小さな男の子の兄弟の4人家族だった。
子猫たちは人なつっこかったので、すぐに新しい環境にも慣れることが出来たようで、数日後伸び伸び過ごす二匹の猫ちゃんの写真をたくさん送ってもらった。
子どもたち、とくに娘は子猫をあんなに可愛がっていたから、別れを凄く悲しむと思って、どうフォローをしようかと思った。しかし、その私が別れが寂しくて涙が止まらず、その姿を見ていた子どもたちは笑顔だった。安心した。
子どもは純粋。そして子どもは柔軟性がある。とても実感した。
子猫と一緒に過ごした期間は一週間ほどと短い期間だったが、ペットを欲しがっている子どもたちにとってはいい勉強になったと今だから言える。また、もしペットを飼う機会があったら、ペットショップが当たり前と思っていたけど、里親を探している愛護団体や動物病院からという考えに変わった。
そして、数日後子どもたちと図書館へ行った。いつも通り娘は「いもとようこさんの絵本」を探した。すると一冊の絵本を発見。
「ボクものがたり」 … 大好きな飼い主さんに大切に育ててもらっていたのに、飼い主さんの理不尽な理由で突然捨てられてしまうワンちゃんの物語。
飼うのも人間。捨てるのも人間。一つの大切な命を途中で裏切る行為は最低だ。命の大切さを強く優しく伝えるこの絵本に心を打たれた。
子どもたちも身をもって体験したから、この物語が心に響いたと思う。